近鉄のチーム名売却は可能か
近鉄が早ければ来季からチーム名を売却する方針を発表しましたが、やはりというか巨人の渡邉恒雄オーナーが噛み付きました。
プロ野球オーナー会議・渡辺恒雄議長(巨人オーナー)「もし近鉄が名称、呼称を売却するなら、野球協約第17条、38条(球団呼称の公示)に対する明白な違反であり、167条(ユニホームの標識)にある連盟会長の権限を無視したもの。コミッショナー権限による裁定を待つが、必要ならオーナー会議を招集し、協約違反の性格を明らかにし、阻止する。中日の白井オーナー、阪神の久万オーナーとも電話で相談し、同一行動を取るとの約束をとった。協約第3条(協約の目的)の趣旨に反し、すべての関係条項に違反する公然たる違反行為であり、認めるわけにはいかない」渡邉オーナーは得意の野球協約を持ち出してきました。さて、野球協約の第3条、第17条、第38条、第167条とは、いったいどんな条文なのでしょうか。
[ 近鉄バファローズ、「球団名を売却」意向(読売新聞) ]
第3条 (協約の目的) この協約の目的は次の通りである。この組織を構成する団体および個人は不断の努力を通じてこの目的達成を目指すものとする。これらの条文を見る限り、売却がダメとはどこにも書いてないですし、球団呼称やユニホームの変更を無許可で強行してしまった訳ではないのですから、変更時に連盟会長や実行委員会に承認を求めれば何の問題もないでしょう。巨人が2002年に(株)よみうりの一部門である東京読売巨人軍から(株)読売巨人軍に独立し、ビジター用ユニホームの胸章を「TOKYO」から「YOMIURI」、腕章を「YOMIURI」から「GIANTS」に変更した時も、実行委員会の承認よりも前に球団から発表されたハズですし。
(1) わが国の野球を不朽の国技にし、野球が社会の文化的公共財となるよう努めることによって、野球の権威および技術にたいする国民の信頼を確保する。
(2) わが国におけるプロフェッショナル野球を飛躍的に発展させ、もって世界選手権を争う。
(3) この組織に属する団体および個人の利益を保護助長する。
第17条 (審議事項) 実行委員会において審議すべき事項は左の通りとする。
(3) 地域権の設定または変更、および球団呼称、専用球場の変更。
(12) その他、コミッショナーが必要と認めた事項。
第1号、第2号、第3号および第4号に記載されている事項、ならびに第5号および第12号のうち重要な事項については、オーナー会議の承認を得なければならない。
第38条 (保護地域) この協約の地域権により保護される地域とそれぞれの連盟の構成球団を次の通りとする。
セントラル野球連盟構成球団とその球団呼称、専用球場、保護地域
(略)
パシフィック野球連盟構成球団とその球団呼称、専用球場、保護地域
株式会社大阪バファローズ 大阪近鉄バファローズ 大阪ドーム 大阪府
第167条 (ユニホームの標識) 試合に着用するユニホームには、統制された背番号を用い、胸章および腕章は、所属連盟会長により承認されたもの以外の文字または標識を用いてはならない。
[ 日本プロフェッショナル野球協約2003(PDF) (日本プロ野球選手会)]
ただし、球団呼称の変更はオーナー会議の承認を得なければならず、オーナー会議の議決は12球団中9球団以上の同意が必要ですから、既に3球団のオーナーが反対となると、オーナー会議で阻止される可能性は高そうです。まぁ、「コミッショナー裁定を待つ」と言っているのですから、根來コミッショナーのお手並み拝見ですかね。


コメント[3]
今回の件で4大紙(朝日・産経・毎日・読売)のうち毎日を除く3紙は「球場などの施設名では、オリックスの本拠「グリーンスタジアム神戸」が昨春、『YAHOO!(ヤフー)BBスタジアム』に変わった。プロ野球の2軍チームが企業からスポンサー料をもらい、その企業の商標などをチーム名の一部に使った例もある。だが1軍で、親会社以外が名前を付けるのは初めてだ」(朝日新聞)、「プロ野球の1軍が親会社以外のチーム名をつけるのは初のケースとなる」(産經新聞)、「プロ野球では、オリックスが二軍チームのスポンサーの商標などをチーム名にした例があるが、一軍では初めての試み」(読売新聞)と報道していますが、当時は「ネーミングライツ」(命名権)などというしゃれた言葉はなかったものの、太平洋クラブ・ライオンズが1976年に同様の主旨でスポンサーをつのり、翌シーズンから2年間「クラウンライター・ライオンズ」(経営母体は太平洋クラブのまま)となったケースがあるんですよね。ほかに、高橋ユニオンズがトンボ鉛筆と業務提携して1955年の1シーズンだけ「トンボユニオンズ」となった例や、東京オリオンズがロッテと業務提携して1969年から「ロッテ・オリオンズ」(経営権がロッテに移譲されたのは1971年から)となった例もあります。従って、必ずしも初めてではないはずなのですが……。
【参考URL】
朝日新聞「05年は『○○バファローズ』。近鉄が球団名売却を発表」
http://www.asahi.com/sports/baseball/OSK200401310007.html
産經新聞「近鉄、チーム名売却へ。基本料は年間36億円」
http://www.sankei.co.jp/news/040131/0131spo089.htm
読売新聞「近鉄バファローズ、『球団名を売却』意向」
http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20040131i113.htm
【補足】
パ・リーグが毎年発行する「ブルーブック」に掲載されている「パ・リーグ略史」の中でも「1976・10・12 太平洋クラブ中村オーナーはチーム名を『クラウンライター・ライオンズ』に変更すると発表。(15日リーグ承認)」と記されています。親会社が変わったのであれば、「実行委員会およびオーナー会議で(球団名)の参加資格を(新規親会社名)に譲渡することを承認」となるはずです。
Posted by 藤田啓二 at 2004年2月 2日 01:08 | 返信
フォロー有難うございます。産経新聞は共同通信の記事そのままですね。一軍初でないことは、別のサイトで取り上げていたりします(笑)。
http://yakyuweb.cocolog-nifty.com/annex/2004/01/post_29.html
http://ito.air-nifty.com/blog/2004/01/post_28.html
Posted by 椎名まお at 2004年2月 2日 18:00 | 返信
「親会社以外"の"名前を付けるのは初めて」
ではなくて
「親会社以外"が"名前を付けるのは初めて」
ということなのではないですか?
過去の事例で親会社と異なる名称が付いたときにそれを
誰が命名したのかは知りませんが…
Posted by ちょ at 2004年2月 3日 20:04 | 返信
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